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2017年9月11日

6月から7月初旬にかけての金相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)に加え、欧州中央銀行(ECB)などでも金融緩和縮小に向けた動きが出始めたことで下落基調となっていました。その後は、低調な米経済指標を受けてFRBによる追加利上げ観測が後退し、ドル安が進んだほか、リスクイベントの多発に伴い8月下旬には1300ドルを突破。9月初旬も年初来高値の更新が続きました。

そのリスクイベントですが、まず北朝鮮に関してはミサイル発射実験や核実験を強行し、米国との激しい応酬が続いたことで金融市場の警戒感が高まりました。次に米国内では政府中枢における人事の迷走、医療保険制度改革法(オバマケア)の見直し頓挫、バージニア州シャーロッツビルで起きた極右集団と反対派の衝突(そして、この事件に対するトランプ大統領の失言)、メキシコ国境の壁建設をめぐるトランプ大統領の強硬姿勢、大型ハリケーン「ハービー」の襲来、連邦政府の債務上限問題*1、といったものがありました。

個人的には、米大統領選の終盤でトランプ陣営の選挙対策本部長に就任し、劣勢を覆したスティーブン・バノン首席戦略官の解任が強く印象に残りました。同氏はトランプ大統領就任後も最側近として、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱やメキシコ国境の壁建設、移民・難民規制、パリ協定からの離脱などを主導した人物とされています。
なお、トランプ大統領と言えばテレビ番組の司会をつとめていた時の「You're fired!(おまえはクビだ!)」という決め台詞が有名ですが、1月20日の政権発足から先月までにこれだけの政府高官がホワイトハウスを去っていきました。

  • マイケル・フリン補佐官(国家安全保障担当) - 2月に辞任
  • ショーン・スパイサー報道官 - 7月に辞任
  • ラインス・プリーバス首席補佐官 - 7月に解任
  • アンソニー・スカラムッチ広報部長 - 7月に解任(同月21日の指名からわずか10日後)
  • スティーブン・バノン首席戦略官 - 8月に解任

また、トランプ大統領は5月にジェームズ・コミーFBI長官を解任し、その翌月にコミー前長官がトランプ政権のロシア疑惑に関する議会証言を行う、といったこともありましたね。

さて、金の上昇を受けてその他の貴金属もつれ高となりました。特に供給不足が続く見通しのパラジウムは投機筋の関心を集めやすく、極端な値動きとなりました。9月初旬には米国でハリケーンの被害を受けた自動車の買い替え需要が生じるとの観測から*2、1000ドルを試す水準まで暴騰し、16年ぶりの高値を更新。プラチナとの値差が約15ドルにまで縮小する場面も見られました。

最後に、FRBの動向も見ておきましょう。FRBは今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げを行わず、その代わりにバランスシートの縮小を開始するとみられます。これは2009年から2014年まで実施した量的緩和策の結果、約4.5兆ドルに膨らんだFRBの保有資産を徐々に減らしていくという取り組みです。そして今年3 度目の利上げが12 月のFOMCで行われるのではないかと予想されていましたが、低調な米経済指標や相次ぐリスクイベントを受けて、市場における12月の利上げ見通しは後退しつつあるようです。

なお、これからイエレン議長の後任人事も進んでいくことになりますが、9月6日、フィッシャー副議長が任期途中の10月中旬で退任する考えを突如表明しました。FRB理事会の定員は7名(議長、副議長を含む)ですが、すでに3名分が空席で、フィッシャー副議長が退任すれば4名分が空席という異例の事態です。ホワイトハウスの人事に加え、FRBの人事も市場の混乱を引き起こすようなことにならなければよいのですが。

*1
9月6日、トランプ大統領と議会指導部はハリケーンの被災者支援法案の一環として、連邦政府の債務上限を3カ月間引き上げるという、いわば「抱き合わせ」の形で合意に至りました。12月には再び債務問題が浮上することとなります。

*2
パラジウムは、主にガソリン車向けの排ガス浄化触媒に使用されています。

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