2010年の貴金属相場、一番目立ったのは?
2011年1月11日
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年は欧州のソブリンリスクや米国の金融緩和・財政赤字、それに伴うドル安、新興国でのインフレ懸念など様々な要因によってドル建て金価格が史上最高値を更新しました。銀・プラチナ・パラジウムも年間ベースで上昇基調を維持し、貴金属相場の高騰がメディアを賑わせました。また、それぞれの上昇率を見てみると、なかなか興味深い年であったように思います。(上昇率の計算には1月4日と12月31日のニューヨークの価格を使用しました)
- パラジウム(+90.6%):10年来の高値
- 銀(+77.2%):30年来の高値
- 金(+27.1%):史上最高値
- プラチナ(+16.9%):緩やかな上昇
これまで出遅れ気味と言われてきた銀とパラジウムが暴騰しています。特に年後半からの上昇が急激でしたね。
まずパラジウムですが、年初に米国で上場されたETFなどにより投資需要が好調であることや、自動車分野における需要拡大が価格を押し上げました。新興国におけるガソリン車(パラジウムを主とする触媒を使用)の増加や、自動車触媒ではプラチナから割安なパラジウムへと材料のシフトが進行しました。電子分野での需要増加やロシアの国家在庫が底に近いとの予測も材料視されたようです。
続いて銀については、金との比較での割安感や将来的に大きなリターンを得られる可能性があるとの見方から投資資金が流入しました。銀需要の8割は工業分野ですが、こちらでも太陽電池向けなど新たな需要が拡大し、強気の材料となりました。現在の銀価格30ドル前後というのは、ハント兄弟の買い占めで50ドルに暴騰した1980年以来の高値となっています。
成長著しい中国の存在も重要な要因です。投資・工業需要の拡大に伴い中国の銀輸入が急増しており(2010年1-10月で2,961トン、前年同期比380%増)、昨年の同国は銀輸出国から一大銀輸入国に転じたと言われています*1。
また個人的にこれは意外だったのですが、金の最大需要国として知られるインドは世界最大の銀の買い手でもあるそうです。元々、金選好の強い国ですが、価格高騰が続く中で金を購入する余裕のない層で銀への関心が高まっており、昨年は銀輸入も拡大しました。やはり割安感というのは銀購入の動機としてポイントですね*2。
ただ前述の通り、中国の銀輸入が急増していますので、2010年の銀の最大需要国はおそらく中国になろうかと思います。
2011年も新興国のインフレ懸念、先進国の財政問題、通貨不安などを受けて投資資金の流入が続き、貴金属相場は上昇基調を維持するとの見方が多いようです(もちろん一本調子ということはないでしょうが)。経済は回復しつつあるものの依然予断を許さない状態です。これが持続すれば良いのですが、下振れのリスクはまだ存在するでしょう。(言うは易し、ですが)冷静さを失わずにいきたいですね。今年一年、当ページをご笑覧いただければ幸いです。
*1
同時に中国の金輸入量もインフレ懸念を背景に急増しています。
*2
昨年末時点でのインド国内銀価格は1オンス辺り45,000ルピー前後(約81,000円、1ルピー=1.8円で計算)と史上最高値に近づいているとのニュースがありました。今後60,000ルピーまで上昇する可能性もあるとか。
