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相場に対する期待感

2010年11月 8日

先月は英国の貴金属調査会社GFMS(ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ)によるセミナーが都内で開催されました。私も参加してきましたので、今回はそこでのプレゼンテーションから、いくつかポイントをピックアップしてみたいと思います。このイベントは毎年10月半ばに行われるのですが、今年も金価格が史上最高値を更新する中での開催となりました*1

金市場:GFMS社CEO、ポール・ウォーカー氏

2010年は欧州の債務懸念、低金利、インフレ懸念、景気減速懸念など様々な要因が追い風となり、史上最高値を更新しました。5月には国内小売価格も27年来の高値を付けました。金市場には資金の逃避先として投資マネーの流入が続き、現在は1,300ドル超という価格で推移していますが、今後もこの水準を維持し、かつ上昇を続けるにはさらなる投資マネーの流入が必要となります。中古金スクラップの増加や加工需要の低迷によって上値を抑えられる場面も予想されますが、この先、半年から1年は上昇基調を維持し、2012年も同様の流れとなる可能性がありそうです。

しかし、2013年以降は下落リスクに注意が必要となるかもしれません。景気が回復に向かえば、金市場を取り巻く環境は変わってきます。金価格が反転するきっかけは、例えば米国の利上げです。ウォーカー氏は「今後5年、強気相場が続くかと聞かれると疑問である」ということで、長期では下落の見通しもお持ちのようでした。

個人的に印象的だったのが、中古金スクラップの動向です。今年前半は最高値更新にもかかわらず、人々の間で価格上昇が続くとの見方が強かったため、中古金スクラップの量は前年同期比で16%ほど少なかったようです。つまり、売り時を待つ姿勢であったということですね。ただ、今年後半のスクラップは増加が予想されており、通年では前年から微増となりそうです。スクラップは価格の上昇とともに毎年増加傾向にあり、重要な供給源となっています。いずれ鉱山で生産される金(新産金)の量に匹敵する可能性もありそうですね*2

プラチナ・パラジウム市場:GFMS社シニア・コンサルタント、ピーター・ライアン氏

プラチナは、鉱山生産と自動車触媒のリサイクルを中心にやや供給が増加する見込みです。自動車触媒需要など工業需要はある程度回復してくるものの、宝飾需要は減少し、全体では前年に続き供給過剰になると予想されます。昨年はプラチナ価格の下落で中国の宝飾需要が急増し、同国での在庫の積み増しなどもありました。しかし、今年はそれがなくなる分、需要の伸びは鈍化しそうです。パラジウムは、自動車触媒需要の急増が期待されるとのことで、GFMSに限らず、プラチナよりも強気の見方をしているところが多いように思います。また、ロシアの国家在庫が底に近いとの噂も相場を押し上げる材料となっています。

*1
2009年11月「two pillars: 2つの柱」

*2
ここ10年ほどを見てみると、供給の内訳が大きく変わってきています。鉱山生産量はやや減少し、中古金スクラップが急増しています。また、公的売却(中央銀行による売りの量)は年々減少し、今年は約15トンの買い越しになる見込みです。そのため、昨年まで供給の項目であった公的売却が、今年は公的購入という形で需要の項目に転じています。正味退蔵放出(投資家による売りの量)も流れは同様です。近年の投資需要の急増により、2000年以降は毎年(2004年を除く)正味退蔵投資という需要の項目として計上されています。

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