ろんどん!
2009年6月 8日

今年もロンドンでのプラチナ・ウィークに参加してきました。経済危機の影響で招待状の数が限られていたり、あるパーティーの開催が見送られたり、いつもとは様子の違う部分もあったようです。ロンドン自体はニュースで見聞きするほど悲観的なムードではありませんでしたが、街を歩いていると「To Let(貸家、貸室)」の表示をいくつも見かけました。アメリカの景気は底打ちとの見方も出てきていますが、ヨーロッパはまだこれから(米国の数ヶ月後を追っている)という指摘もあり、何とも言い難い状況です。
さて、英ジョンソン・マッセイ社(以下JM)による年次レポート「PLATINUM 2009」が発表されました。
- 2008年のプラチナ市場は11.7トンの供給不足(※1)
- 供給は、南ア鉱山の問題(電力供給障害、安全問題、熟練技術者不足など)で生産量が減少し、185.7トン。(前年比9.5%減)
需要は、世界的な景気後退が影響し、197.4トン。(前年比5.0%減)
自動車触媒用プラチナ需要は118.3トン(前年比8.2%減)となり、1999年以来初めて減少となった。宝飾や投資の分野では、年前半の価格高騰でリサイクルが急増したが、後半の価格急落でリサイクルが急減し、アジアでの宝飾用需要(特に中国)や投資需要(特に日本)が高まった。 - 2008年のパラジウム市場は14.3トンの供給過多
- 供給は、南アの生産量の低下とロシア国家在庫の売却量が減少したことで、227.4トン。(前年比14.8%減)
需要は、北米における自動車触媒向け需要の減少を、欧州やアジアの触媒需要(※2)や宝飾用需要が相殺し、213.1トン。(前年比0.5トン増) - 2009年のPGM市場
- 今後6ヶ月間の予想レンジは、プラチナ950-1,350ドル、パラジウム180-280ドル(※3)。工業用需要の低迷が続いているが、景気回復の兆しが見られるようならば上昇の余地がある。需要増加の可能性があるのは宝飾や投資の分野。昨年後半からの価格急落でリサイクルが減少しており、アジア地域での活発な宝飾・投資需要が期待され、価格の下支えとなる。

JMのレポートはやや強気の見通しととらえられ、その週にプラチナ価格は1,150ドルまで上昇しました。5月末には米ゼネラル・モーターズの再建策を巡って様子見という場面もありましたが、6月に入り破産法の適用申請がなされると……先行きの不透明感が弱まったということでしょうか、プラチナの上昇は続き、1,200ドル台半ばで推移しています。パラジウムもこれまでの出遅れ感から値を伸ばしています。

あるディナーでは、参加者全員が1年後のプラチナとパラジウムの価格を予想しました。各自のネームプレートに価格を記し、もし当たっていれば来年のディナーでプライズがある!?かもしれません。日本からの参加者の間では、この予想がなかなか興味深い内容となりました。記入された数字を見ると、トレーダー筋の方々はBullish(強気の見方)で、地金商などの実需筋はどちらかというとBearish(弱気の見方、私もこちらです)。ちなみに私の予想価格はプラチナ1,320ドル、パラジウム238ドル。結果や如何に……。
- ※1 GFMSは8.2トンの供給過多というレポートでしたが、この差は集計方法や対象企業の違いによるものです。
- ※2 欧州ではディーゼル車に搭載するプラチナとパラジウムを使用した触媒需要が増加しました。さらに中国や日本、その他の地域でパラジウムの自動車触媒需要が拡大しました。
- ※3 GFMSによる2009年の予想レンジはプラチナ900-1,375ドル、パラジウム170-325ドルでした。

