自由の国のレシピ
2008年2月12日
年始早々に金が最高値(ドル建価格)を更新しました。850ドルを飛び越えたら、その勢いで900ドルに。この急騰で、当社にも金を売りに来られるお客様が大勢いらっしゃいました。1月中旬には世界的な株安に押されつつもなんとか踏みとどまり、再び900ドルをはさんでの値動きとなっています。(「はさんで」といっても上に20ドル・下に20ドルと、かなりの振れ幅です)
1月のスタートはアメリカの株価が下がり、お金が「もの」に向けられて金が買われました。「株から金へ」という資金の移動です。マーケット全体にお金があれば、このように一方は下がり、他方は上がります。しかし、株安が世界的な規模になると誰もが株の損失を埋めようと動きます。あらゆるものが売られ(もちろん金も)、マーケットから資金が引き揚げられて全面安となるのです。これが1月中旬の状況です。株価の下げが止まらず、FRB(連邦準備銀行)は定例会合を前に0.75%の緊急利下げに踏み切りました。その後、1月30日の定例会合では0.5%の利下げが決まり、わずか1週間のうちに1.25%もの利下げとなりました。
金相場はしばらく様子見の後、上がってみたり下がってみたりと忙しく動いていますが、将来的にはやはり強気の見方が多いようです。「風雨が激しいと金塊の山は少々崩れてしまうこともある。しかし、もともと基礎は堅いので元通りに積み直せばよい」というのが、今の金相場の気分ではないでしょうか。
この崩れたところを「積み直す」のが実需の買いだとすれば、金塊を「積み増して」いくのはヘッジファンドなどの大きなお金です。このお金は、効率よく利益を得られる市場はどこか、と常に目を光らせていますから、どんどん値を上げていく金を見て黙っているはずもありません。
投機マネーがターゲットにしたのは金だけではありません。こちらも年明けに高値を更新した原油です。中国やインドなど新興国の成長ぶりから、原油の需要が高まるとの見方はもっともです。しかし、年明けの「原油1バレル100ドル」という数字は需給関係というより、投機絡みの莫大な資金が商品市場に流れ込んだ結果なのです。
さて、そんな威勢の良いマネーと信用不安の間でアメリカ経済は揺れています。イラク戦争やサブプライム問題など……政治的にも経済的にもアメリカへの不信が強くなってきています。景気減速、ドルに対する信用が落ちてドル安に、そしてインフレ……(見覚えのある単語が並んでいますね。金が上がる材料ばかりです。つまり、このように経済の先行きが不透明なときには「安全な逃避先」として金が買われるのです。逆の見方をすれば、高値の金価格はアメリカの金融・経済に疑問を突きつけていると言えるでしょう)
今、アメリカでは国の舵取り役を決める選挙戦の真っ最中です。冷え込みつつあるアメリカを温め直すにはどうすべきか。残念ながら電子レンジ(経済への特効薬)はありませんが、そのぶん凝った手法が見られるのではないでしょうか。各候補の読み上げるおいしい(?)レシピに注目です。
- extra 1:大統領選とインターネット
- アメリカではインターネットでの選挙運動が定着してきています。民主・共和の両陣営ともウェブサイトを資金集めやコミュニケーションのツールとして利用し、ブログでは有権者が活発に議論を交わしています。特に今回は動画サイトが大いに活用され、選挙戦の一端を担っているようです。
(YouTubeは大統領選挙に向けて、「YouChoose」というサービスを開始しました) - extra 2:プラチナ?プラチナ!!
- 1月後半、南アフリカからプラチナ供給にかかわるニュースが立て続けに発表されました。大手鉱山の生産目標下方修正、豪雨による生産障害、さらに電力不足で鉱山が操業停止。これを受けて、同月25日にプラチナ価格は1700ドル近くまで一気に上昇しました。その後も騰勢は衰えず、あっという間に1800ドル台に乗ってしまいました。
白金系の貴金属は大変稀少で、産出地域も南アに大きく偏っています。さらに今後の需要拡大(自動車触媒など)も見込まれ、激しい価格変動につながる要素を抱えているのです。
